平成27年第2回定例会意見案

平成27年第2回定例会において可決した意見案


意見案第4号 地方財政の充実・強化を求める意見書

[27. 7. 9 松浦 宗信議員、道下 大樹議員、大河 昭彦議員、安藤 邦夫議員、宮川 潤議員 提出 / 27. 7.10 原案可決]

 地方自治体は、子育て支援、医療、介護などの社会保障、環境対策、地域交通の維持など、その果たす役割が拡大していることに加え、人口減少問題への対応など、新たな政策課題に直面しており、こうした課題に適切に対応していくためには、地域の財政需要を的確に見積もり、これらに見合う地方交付税及び一般財源総額を確保することが極めて重要である。
 こうした状況の中、本年6月30日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2015」においては、平成30年度のプライマリーバランスの黒字化を図るため、社会保障と地方行財政改革等が改革の重点分野とされ、国の取り組みと基調を合わせた歳出改革を行うこととされている。
 地方自治体が、今後も質の高い公共サービスを維持するためには、地方自治体の実態に見合った歳出・歳入を的確に見積もり、国と地方自治体の十分な協議を保障した上で、地方財政計画、地方税、地方交付税のあり方を決定する必要がある。
 よって、国においては、公共サービスの質の確保と地方自治体の安定的な行政運営を実現するため、平成28年度の地方財政計画、地方交付税及び一般財源総額の拡大に向けて、次の事項について適切な措置を講ずるよう強く要望する。
                                                         記
1 社会保障、環境対策、地域交通対策、人口減少対策など、増大する地方自治体の財政需要を的確に把握するとともに、歳出特別枠の確保などにより、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額を確保すること。
  なお、頑張る地方を支援する仕組みの検討に当たっては、各地方自治体におけるこれまでの歳出削減の取り組みや行財政改革の成果を考慮すること。
2 子ども・子育て支援新制度、地域医療構想の策定、地域包括ケアシステム、生活困窮者自立支援、介護保険制度や国民健康保険制度の見直しなど、急増する社会保障ニーズへの対応と人材を確保するための社会保障関係予算の確保及び所要の地方財政措置を講ずること。
3 法人実効税率の見直し、車体課税の見直しなど、各種税制の廃止、減税を検討する際には、地方財政の運営に影響を与えないよう、代替財源を確保すること。また、償却資産に係る固定資産税やゴルフ場利用税については、市町村の財政運営に不可欠な税であるため、現行制度を堅持すること。なお、地方消費税の清算基準は、より最終消費の実態に即したものとなるよう見直すこと。
4 地方交付税の財政調整機能の強化を図るため、留保財源率を見直すこと。また、人口減少が地域間のさらなる財政力格差の拡大を招かないよう、地方交付税の算定方法について、面積的要素の拡充や国勢調査人口が急減する自治体への配慮、市町村合併の算定特例の終了を踏まえた新たな財政需要の把握、小規模自治体に配慮した段階補正の強化などの対策を講ずること。
 以上、地方自治法第99条の規定により提出する。

  平成  年  月  日

 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 経済産業大臣 内閣官房長官 経済財政政策担当大臣 地方創生担当大臣  各通

北海道議会議長 遠藤  連


意見案第5号 改正耐震改修促進法によるホテル・旅館等大規模建築物の耐震診断結果公表の猶予を求める意見書

[27. 7. 9 松浦 宗信議員、道下 大樹議員、大河 昭彦議員、安藤 邦夫議員、宮川 潤議員 提出 / 27. 7.10 原案可決]

 国では、大規模な地震の発生に備えて、建築物の地震に対する安全性の向上を一層促進するため、平成25年5月に「建築物の耐震改修の促進に関する法律」を改正し、特にホテル・旅館、病院、店舗等の不特定多数の者が利用する建築物等については、建築物の耐震診断を実施し、その結果を平成27年末までに所管行政庁に報告することを義務づけるとともに、期限は設けていないものの、診断結果の公表も義務づけた。
 しかしながら、耐震診断の結果、施設の改修が必要とされた場合、設計から改修工事完了までに最長5年程度の期間を要することから、平成27年度中ないし平成28年度に診断結果が公表されると、危険な建築物であるとの認識のもと、報道による影響や旅行業者からの契約解除等で顧客離れが起こることが想定され、多額の改修費用を負担している事業者の経営状況に、深刻な打撃を与えることが懸念される。
 よって、国においては、耐震診断結果の公表に当たり、本道の経済や雇用を支えるホテル・旅館等の事業者の実情等を十分に踏まえた相当の猶予期間を設けるなど、事業者の経営実態を考慮した適切な措置がなされるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により提出する。

  平成  年  月  日

 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 財務大臣 経済産業大臣 国土交通大臣  各通

北海道議会議長 遠藤  連


意見案第6号 林業・木材産業の成長産業化に向けた施策の充実・強化を求める意見書

[27. 7. 9 水産林務委員長 松浦 宗信 提出 / 27. 7.10 原案可決]

 本道の林業・木材産業は、山村地域を支える基幹産業として発展し、雇用の確保、地域経済の活性化などに大きく寄与してきた。
 しかし、山村では、人口の減少と高齢化が急速に進みつつあり、近い将来、集落はもとより、自治体の存続が危ぶまれる事態をも想定されている。
 一方、地球温暖化が深刻な環境問題となっている中で、二酸化炭素を吸収・固定する森林・木材に対し大きな関心と期待が寄せられているが、我が国においては、化石燃料への依存が高く、森林や木材が果たす役割はこれまで以上に重要となっている。
 このような中、道では、森林の公益的機能の維持増進や森林資源の循環利用の実現に向け、森林整備事業及び治山事業や森林整備加速化・林業再生対策等を活用し、植林・間伐や路網の整備、山地災害防止、木造公共施設の整備など、さまざまな取り組みを支援してきたところである。
 今後、人工林資源が本格的な利用期を迎える中、こうした取り組みをさらに加速させ、地域の特性に応じた森林の整備・保全を着実に進めるとともに、森林資源の循環利用による林業・木材産業の成長産業化を実現するための施策の充実・強化を図ることが必要である。
 よって、国においては、次の事項を実現するよう強く要望する。
                                                         記
1 京都議定書第二約束期間における森林吸収量の国際的な算入上限値3.5%分を最大限確保するため、「地球温暖化対策のための税」の使途に森林吸収源対策を位置づけるなど、森林整備や木材利用のための安定的な財源を確保すること。
2 森林の多面的機能を持続的に発揮し、林業・木材産業の振興と山村における雇用安定化を図るため、公共事業である森林整備事業及び治山事業の財源を十分かつ安定的に確保すること。
3 川上から川下に至る総合的な対策を地域の実情に合わせて柔軟に展開するため、「森林整備加速化・林業再生対策」を恒久化し、財源を確保すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により提出する。

  平成  年  月  日

 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 文部科学大臣 農林水産大臣 経済産業大臣 国土交通大臣 環境大臣 復興大臣  各通

北海道議会議長 遠藤  連


意見案第7号 ロシア連邦200海里水域におけるサケ・マス流し網漁業の禁止に伴う支援を求める意見書

[27. 7. 9 水産林務委員長 松浦 宗信 提出 / 27. 7.10 原案可決]

 戦前からの北洋漁業の伝統を受け継ぎ、長い歴史を有する、サケ・マス流し網漁業は、今日においても道東地域の基幹漁業として、非常に重要な役割を果たしているところである。
 このような中、日本国政府からロシア政府に対して、再三にわたり、操業の継続を要請していたにもかかわらず、本年6月29日、「2016年1月からロシア水域における流し網漁業を禁止する法案」が、プーチン大統領の署名により成立し、来年以降の流し網での操業が困難な状況に至ったことは、極めて残念な事態である。
 本漁業は、約500名の乗組員の雇用はもとより、水産加工・流通・漁業資材など関連産業も多く、根室市を初めとする道東の地域経済に大きく貢献しているが、特に根室市は水産業が基幹産業であることから、地域経済に与える影響は甚大であり、さらなる人口減少の加速化なども危惧される。
 ロシア200海里水域におけるサケ・マス流し網漁業は、日ロ政府間交渉に基づき実施している漁業であり、地域に与える影響が最小限となるよう、国において、迅速かつ万全な対策を講ずる必要があるものと考える。
 よって、国においては、このような本道漁業の厳しい実情や、地方創生が地域における喫緊の重要課題であることを踏まえ、地域振興を推進する観点からも、漁業者、漁業協同組合、水産加工業者を初めとした漁業関連産業はもとより、地域経済全体に対して、特段の支援措置を講ずるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により提出する。

  平成  年  月  日

 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 財務大臣 農林水産大臣 経済産業大臣 地方創生担当大臣  各通

北海道議会議長 遠藤  連


意見案第8号 道路の整備に関する意見書

[27. 7. 9 建設委員長 佐々木 俊雄 提出 / 27. 7.10 原案可決]

 北海道は、全国の22%を占める広大な面積に179の市町村からなる広域分散型社会を
形成し、道民の移動や物資の輸送の大半を自動車交通に依存しており、道路は道民生活と経済・社会活動を支える重要な社会基盤であるが、冬期の厳しい気象条件に加え多発する交通事故、自然災害時の交通障害や更新時期を迎え老朽化する道路施設など、道路を取り巻く課題は多い。
 また、国土の根幹をなす高規格幹線道路から住民に最も密着した市町村道に至る道路網の整備は、道民が強く要望しているところであり、特に、広域分散型の地域構造である広大な北海道において、高規格幹線道路ネットワークの形成は、圏域間の交流・連携の強化、地域医療の充実に加え、企業進出や観光客の増加等、産業面・観光面のストック効果をさらに高めるとともに、大規模災害時には復旧作業や被災者支援の物資輸送に大きな役割を果たすことなどから、道民の安全で安心な生活を確保する上での重要な課題である。
 こうした中、地方財政は依然として厳しい状況が続いており、今後は、国と地方の適切な役割分担のもと、道路整備に必要な予算を確保するとともに、国が制度を見直す際には、地方の自主性・裁量性を重視した地方にとって自由度の高い制度とすることが重要である。
 よって、国においては、このような状況を踏まえ道路整備の充実・強化を図るよう、次の事項について強く要望する。
                                                         記
1 高規格幹線道路ネットワークの早期形成を図るため、着手している区間の早期開通を図るとともに、未着手区間について早期の着手を図ること。
2 高度経済成長期に整備された道路施設の老朽化対策を推進するため、点検・診断・補修などメンテナンスサイクルを確立し、戦略的な維持管理・更新事業を行うための安定的な予算確保、技術的支援や財政的支援などの充実を図ること。
3 自然災害時等における交通機能の確保を確実なものとするため、安全で信頼性の高い道路整備を進めるとともに、広域交通の寸断や交通障害による孤立集落の発生を防ぐ代替路の整備など、災害に強い道路ネットワークの構築を図ること。
4 冬期交通における安全性の確保、通学路などの交通安全対策を初め、魅力あふれる北海道観光の発展に資する交通ネットワークの形成など、地域の暮らしや経済活動を支える道路の整備及び維持に必要となる安定的かつ十分な予算を確保すること。
5 事業評価に当たっては、従来の費用便益分析による効率性の面だけではなく、地域のニーズを反映させ、暫定案として示された防災機能の評価手法の充実に加え救急医療や観光への貢献といった交通量によらない多様な効果を考慮した評価手法となるよう検討すること。
6 泊発電所周辺において、避難道路や万が一の際の初動活動を迅速に行うための道路について、国の負担割合を引き上げるほか別枠での予算を確保した上で、早急な整備と適切な維持を図ること。
 以上、地方自治法第99条の規定により提出する。

  平成  年  月  日

 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 国土交通大臣  各通

北海道議会議長 遠藤  連


意見案第9号 義務教育の機会均等の確保と教育予算の確保・拡充を求める意見書

[27. 7. 9 文教委員長 大崎 誠子 提出 / 27. 7.10 原案可決]

 義務教育の機会均等・水準確保及び無償制度は、全ての国民に対し、義務教育を保障するための憲法の要請に基づく国の重要な責務であり、我が国の教育制度の根幹をなすものである。
 このため、義務教育費国庫負担制度の堅持は、全ての子どもたちに対して無償でひとしく一定水準の教育機会を保障し、次代を担う人材育成という社会の基盤づくりに必要不可欠なものである。
 しかしながら、義務教育費国庫負担法の改正により、平成18年度から義務教育費の国庫負担率が2分の1から3分の1に引き下げられたことに伴い、地方交付税等への地方の依存度が高まり、地方教育財政への圧迫が懸念される状況にある。
 とりわけ、広大な地域に小規模校が数多く点在し、また、離島など多くの僻地を有する本道においては、教育財政の逼迫等により、教育水準の全国との格差や市町村間での格差を生じさせるなど、本道の教育水準のさらなる低下が憂慮される状況にある。
 また、学力・体力の向上や、いじめや不登校など多様化・複雑化する生徒指導上の課題への的確な対応、教育上、特別な支援を必要とする児童生徒が増加傾向にある中、個に応じたきめ細やかな指導の充実が求められている。
 これに加え、今後の学校教育では、子どもたちがみずから課題を発見し、その解決に向け主体的・協働的に探求し、成果を表現できる力を育むことが求められており、特に広域な本道では、教育の機会均等を保障するため、多くの市町村において複式学級を設置していることなど、学校が抱える課題は増加しており、こうした教育課題への対応のためにも教職員定数を初めとする教育予算の一層の充実が求められている。
 さらに、災害時に地域住民の緊急避難場所として、極めて重要な役割を果たす学校施設の耐震化や、低所得者層の増大を要因とした、準要保護などの就学援助受給家庭の増加に対応する、就学援助制度や奨学金制度の充実なども喫緊の課題となっている。
 よって、国においては、公教育に地域間格差を生じさせないため、義務教育費国庫負担制度の堅持、少人数学級の実現、地域の教育課題やこれからの社会を見据えた教育に対応するための教職員定数の改善、教科書の無償給与の堅持並びに学校施設費、就学援助費及び教材費等の充実など、地方交付税等を含む義務教育予算の確保・拡充を図られるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により提出する。

  平成  年  月  日

 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 文部科学大臣  各通

北海道議会議長 遠藤  連


意見案第10号 介護報酬の見直し等に関する意見書

[27. 7. 9 少子・高齢社会対策特別委員長 梶谷 大志 提出 / 27. 7.10 原案可決]

 平成27年4月に実施された介護報酬の改定は、介護サービスの充実のプラス0.56%、処遇改善のプラス1.65%を除くとマイナス4.48%の大幅なマイナス改定となった。
 施設関係では特別養護老人ホームが基本報酬で5%を超える引き下げ幅となり、小規模型通所介護事業所では約10%、介護予防通所介護・介護予防通所リハビリテーション事業所に至っては20%を超えるマイナス改定となっている。
 全国各地で、地域によっては介護報酬の引き下げによる住民の介護サービスの低下を招くとの声が上がっている。
 社会保障の充実を理由に消費税8%に引き上げたにもかかわらず、今回のマイナス改定によるサービスの低下があってはならない。
 国は今回の大幅引き下げの理由として、賃金・物価の状況、介護事業者の経営状況等を踏まえて改定を行ったとしているが、都市部で利益を上げる一部の事業者を除いて、広大な過疎地を抱える北海道では利用者確保も難しく訪問看護などの幾つかのサービスが利用できない自治体もある。
 また、処遇改善加算は介護職員だけを対象にしているが、介護現場には看護職員・ケアマネジャー・事務職員・リハビリ技師・調理職員など多様な職種が働いており、介護職場全体のバランスのとれた処遇改善には、介護報酬全体の引き上げが必要である。
 国が医療介護総合確保法により介護保険制度の運営を自治体に任せようとする中で、住民の命を守り、地域の介護システムを維持させるためには、介護事業所の維持と、確保が困難となっている介護労働者の大幅な処遇改善が不可欠である。
 よって、国においては、次のとおり誰もが安心して利用できる介護保険制度の実現を基本にした介護報酬の見直し等を行うよう強く要望する。
                                                         記
1 介護事業所と介護労働者が充実したサービスを提供できるよう、介護報酬の見直し等に向けた検討を行うこと。
2 利用者のサービス利用に支障をもたらさないよう、必要な対策を講ずること。
 以上、地方自治法第99条の規定により提出する。

  平成  年  月  日

 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 法務大臣 厚生労働大臣  各通

北海道議会議長 遠藤  連


 

 

 

 

 

 

 

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