第2回定例会において議員及び委員会から提出のあった案件 意見案 意見案第1号  地方財政の充実・強化を求める意見書 3年2定 みよし まさし議員外4人提出 令和3年7月2日 原案可決  新型コロナウイルスにより、今、地方自治体には新たに多くの行政需要が発生している。 ワクチン接種体制の構築、防疫体制の強化、「新しい生活様式」への変化を余儀なくされた市民の日常生活から発生する問題など、あらゆる課題に即時の対応が求められている。 また、医療・介護など社会保障への対応、子育て支援策の充実、地域交通の維持・確保など、少子・高齢化の進展とともに、従来からの行政サービスに対する需要がこれまで以上に高まりつつあることに加え、近年多発している大規模災害やデジタル・ガバメント化への対応も迫られている。 このような環境下にある地方一般財源総額について、政府はいわゆる「骨太方針2021」において、令和6年度の地方財政計画まで、令和3年度の地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保するとしている。しかし、新型コロナウイルスへの対応により巨額の財政出動が行われる中、令和4年度以降の地方財源が十分に確保できるのか、大きな不安が残されている。 このため、令和4年度の政府予算編成と地方財政計画の策定に当たっては、コロナ禍による新たな行政需要なども把握しながら、歳入・歳出を的確に見積もり、地方財政の確立を目指すべきであることから、次の事項について適切な措置を講ずるよう強く要望する。 記 1 地方財政計画の策定に当たっては、社会保障、防災、環境、地域交通、人口減少、デジタル化対策など、増大する地方自治体の財政需要を的確に把握し、これに柔軟に対応し得る地方一般財源総額の確保を図ること。 2 新型コロナウイルス対策に係る、ワクチン接種、感染症対応業務等の体制強化や、その他の新型コロナウイルス対応事業、また地域経済の活性化事業が十分に行えるよう、確実な財源措置を図ること。 3 子育て、地域医療の確保、介護や児童虐待防止、生活困窮者自立支援など、急増する社会保障ニーズが地方自治体の一般行政経費を圧迫していることから、地方単独事業分も含めた十分な社会保障関連経費の拡充を図ること。また、人材を確保するための地方自治体の取組を支える財政措置を講ずること。 4 デジタル・ガバメント化における自治体業務システムの標準化については、地方自治体の実情を踏まえるとともに、目標時期の延長や一定のカスタマイズを可能とするなど柔軟に対応すること。 5 「まち・ひと・しごと創生事業費」として確保されている1兆円について、引き続き同規模の財源確保を図ること。 6 会計年度任用職員制度について、引き続き所要額の調査を行うなどして、地方財政計画の歳出に確実に計上すること。 7 森林環境譲与税の譲与基準については、地方団体と協議を行い、より林業需要の高い地方自治体への譲与額を増大させるよう見直すこと。 8 地域間の財源の偏在是正のため、引き続き偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組むこと。また、各種税制の廃止、減税を検討する際には、地方自治体の財政運営に与える影響を十分検証した上で、代替財源の確保をはじめ、財政運営に支障が生じることがないよう対応を図ること。 9 地方交付税の財源保障機能・財源調整機能の強化を図ること。 10 地方交付税の法定率を引き上げるなど、引き続き、臨時財政対策債に頼らない地方財政の確立に取り組むこと。 以上、地方自治法第99条の規定により提出する。 令和  年  月  日 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 厚生労働大臣 経済産業大臣 内閣官房長官 経済財政政策担当大臣 地方創生規制改革担当大臣 各通 北海道議会議長 おばた やすのり 意見案第2号 選択的夫婦別姓制度の議論の活性化を求める意見書 3年2定 みよし まさし議員外4人提出 令和3年7月2日 原案可決 民法第750条は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と規定し、夫婦同姓を義務づけている。 本年6月、最高裁判所において、民法第750条の規定が憲法に違反するかどうかが争われた特別抗告事件について、平成27年12月の判決に続き、合憲とする決定が示された。しかしながら、この決定においては、氏制度の在り方は国会で論ぜられ、判断されるべき事柄だとした。 平成30年2月に内閣府が公表した「家族の法制に関する世論調査」の結果では、「選択的夫婦別姓制度の導入に賛成」が42.5%、「導入に反対」29.3%、「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが、婚姻前の姓を通称として使えるように法律を改めることはかまわない」が24.4%となっており、様々な意見が存在している。 選択的夫婦別姓制度の議論に当たっては、夫婦同姓が社会的に定着していることに十分留意する必要があり、夫婦が異なる姓を名乗ることによる子どもへの影響など、別姓制度に関する入念な調査及び検討は、決して欠かされてはならない。 よって、国においては、国民の価値観の多様化及び世論の動向等を踏まえ、選択的夫婦別姓制度に係る議論を社会に開かれた形で十分に行うよう強く求める。 以上、地方自治法第99条の規定により提出する。 令和  年  月  日 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 法務大臣 各通 北海道議会議長 おばた やすのり 意見案第3号 学校教育におけるデジタルトランスフォーメーションを適切に進めるための意見書 3年2定 みよし まさし議員外3人提出 令和3年7月2日 原案可決 現在、教育の現場では、「誰一人取り残すことのない公正に個別最適化され、創造性を育む学び」の実現を目指す「GIGAスクール構想」の一環で、児童生徒に1人1台の情報端末の貸与、並びに校内の高速ネットワーク整備が進められている。 また、これらのハード面の取組に加えて、児童生徒の「個別最適な学び」と「協働的な学び」の充実や、「特別な配慮を必要とする児童生徒の学習上の困難の低減に資するもの」として、「デジタル教科書」の導入も進められようとしている。 「GIGAスクール構想」に対しては、ICTを活用したオンラインでの授業や宿題の配付、さらにデジタル教科書やデジタルドリルの活用など、各人の状況に合わせた学習を推進することにより、多様な学びの実現と教員の負担軽減などへの期待が高まっている。 一方で、全ての教員が情報端末を活用した一定レベルの授業を行うことができるように、個人情報の取扱い及び管理も含めた教職員の資質の向上が求められる。また、デジタル教科書・教材は、学校から貸与された端末を使い、学校のシステムに接続する必要があり、例えば、転校先でも復習や学びが継続できる環境を整備しておくことも重要である。 さらに、デジタル教科書のみを使用した場合には、学習の基本能力である「読解力」の低下につながる可能性が懸念される。そこで、各自治体において、Society5.0時代を生きる子どもたちにふさわしい教育を推進するため、学校教育にICTを浸透させ、さらなる教育の充実を図るためのデジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」という。)の実現に向けて取り組んでいくべきである。 よって、国においては、次の事項について迅速に対応するよう強く求める。 記 1 情報端末の利活用や取扱い、個人情報の保護など、教育DXに対応する教職員研修の在り方について検討を進めること。 2 システムやソフトウェアの整備、情報端末や通信設備の修繕や定期更新など、教育DXに関する学校教育予算の充実・確保とその在り方について検討を進めること。 3 様々な会社の情報端末とデジタル教科書と個人認証システムの互換性を確保するための、統一規格について検討を進めること。 4 よく聞き、よく読み、よく書くなどの生涯学び続けるための基本的な「学ぶスキル」を身につける上で、紙面の活用と対面学習の併用を検討すること。 以上、地方自治法第99条の規定により提出する。 令和  年  月  日 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 文部科学大臣 各通 北海道議会議長 おばた やすのり 意見案第4号 林業・木材産業の成長産業化に向けた施策の充実・強化を求める意見書 3年2定 水産林務委員長 さとう ただひろ提出 令和3年7月2日 原案可決 本道の森林は全国の森林面積の約4分の1を占め、国土保全、地球温暖化防止、林産物の供給等の多面的機能の発揮が期待されており、これらの機能を十分に発揮させるためには、「植えて育てて、伐って使って、また植える」といった森林資源の循環利用を進める必要がある。森林の整備を進め、木材を積極的に利用していくことは、山村地域を中心とする雇用・所得の拡大による地方創生にも大きく貢献するものである。 さらに、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする国の目標の達成に向けて、伐採後の着実な植林による森林の若返りや長期間炭素を固定する木材利用の促進など、全国一の森林資源を有する北海道が森林吸収源対策を積極的に推進する責務を担うことが必要である。 道では、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の循環利用の実現に向け、森林整備事業及び治山事業や林業成長産業化総合対策事業等を活用し、植林・間伐や路網の整備、山地災害の防止、木造公共施設の整備、林業事業体の育成など、様々な取組を進めてきたところである。 本道の森林を将来の世代に引き継いでいくため、活力ある森林づくりや防災・減災対策をさらに進め、森林資源の循環利用による林業・木材産業の成長産業化が実現できるよう、施策の充実・強化を図ることが必要である。 よって、国においては、次の措置を講ずるよう強く要望する。 記 1 森林の多面的機能を持続的に発揮し、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献するため、適切な間伐と伐採後の着実な再造林の推進に必要な森林整備事業予算や、防災・減災対策の推進に必要な治山事業予算を十分に確保すること。 2 森林資源の循環利用を通じて、林業・木材産業の成長産業化を実現するため、ICT等の活用による林業イノベーションの推進、生産・流通体制の強化、都市の木造化などによる道産木材の販路拡大、森林づくりを担う人材の育成などに必要な支援を充実・強化すること。 以上、地方自治法第99条の規定により提出する。 令和  年  月  日 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 文部科学大臣 農林水産大臣 経済産業大臣 国土交通大臣 環境大臣 復興大臣   各通 北海道議会議長 おばた やすのり 意見案第5号 国土強靱化に資する道路の整備等に関する意見書 3年2定 建設委員長 ちば ひでや提出 令和3年7月2日 原案可決 北海道は、豊かで美しい自然環境や広大な大地と海に育まれた豊富で新鮮な食など、多様な魅力を有しており、国内外より訪れる観光客の増加が続いていたが、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により、本道の経済は食産業や観光業、農林水産業など幅広い分野において、大きな打撃を受けているほか、道路交通を取り巻く環境においては、激甚化・頻発化する自然災害に伴う交通障害をはじめ、道路施設の老朽化、多発する交通事故など、様々な課題を抱えている。 今後は、ポストコロナを見据えた新たな未来に向けた取組を加速することが必要であり、そのためには、北海道の強みである「食」や「観光」に関連する地域(生産空間)が持つ潜在力が最大限発揮されるよう、平常時・災害時を問わない北海道を支える基盤の確立に向け、安定的な物流・人流の確保・活性化に資する広域道路ネットワークの早期形成や機能向上が必要不可欠である。加えて、積雪寒冷の本道においては、安定的な除排雪の体制確保など、冬期間の住民の安全・安心を図ることが必要である。 こうした中、地方財政は依然として厳しい状況にあることから、国と地方の適切な役割分担のもと、道路整備・管理に必要な予算を安定的かつ継続的に確保することが重要である。 よって、国においては、国土の根幹をなす高規格道路から国民の日常生活に最も密着した市町村道に至る道路ネットワークの計画的・体系的整備の必要性や、ポストコロナを見据えた物流・観光をはじめとする経済回復に資する道路の重要性などを踏まえ、より一層の道路整備の推進や維持管理の充実・強化に向けて、次の事項について特段の措置を講ずるよう強く要望する。 記 1 道路整備・管理が長期安定的に進められるよう、道路関係予算の所要額を確保すること。 2 「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を計画的に進めるために必要な予算・財源を確保すること。 3 新広域道路交通計画に基づき、高規格道路については、着手済み区間の早期開通、未着手区間の早期着手及び暫定2車線区間の4車線化といった機能強化を図ること。また、高規格道路と並行する国道とのダブルネットワークの構築などによるリダンダンシーの確保や道路の防災対策などによる耐災害性の強化を推進するほか、重要物流道路のさらなる指定を図ること。 4 国土強靱化の事業計画に基づく橋梁、トンネル等の老朽化対策を推進するため、点検・診断・補修などのメンテナンスサイクルを確立し、予防保全を含む戦略的な維持管理・更新事業を行うための技術的支援の充実を図ること。 5 冬期交通における安全性の確保、通学路などの交通安全対策、無電柱化の推進、安全で快適な自転車利用環境の創出、北海道観光の振興に向けた道路交通環境の整備など、地域の暮らしや経済活動を支える道路の整備や管理の充実を図ること。 6 泊発電所周辺の道路は、複合災害発生時における避難道路としての機能も有していることから、こうした道路の事業について、国の負担割合を引き上げるとともに、早急な整備と適切な管理を図るために必要な予算を別枠で確保すること。 7 災害発生時の迅速かつ円滑な復旧等のため、北海道開発局及び開発建設部の人員体制の充実・強化を図ること。 以上、地方自治法第99条の規定により提出する。 令和  年  月  日 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 国土交通大臣 国土強靱化担当大臣 各通 北海道議会議長 おばた やすのり 意見案第6号 義務教育の機会均等の確保と教育予算の確保・拡充を求める意見書 3年2定 文教委員長 よしかわ たかまさ提出 令和3年7月2日 原案可決 義務教育の機会均等・水準確保及び無償制度は、全ての国民に対し、義務教育を保障するための憲法の要請に基づく国の重要な責務であり、我が国の教育制度の根幹となっている。 中でも、義務教育費国庫負担制度は、全ての子どもたちに一定水準の教育機会をひとしく保障するものであり、次代を担う人材を育成するという社会の基盤づくりに必要不可欠なものである。 しかしながら、義務教育費国庫負担法の改正により、平成18年度から義務教育費の国庫負担率が2分の1から3分の1に引き下げられたことに伴い、地方公共団体においては、地方交付税等への依存度が高まり、教育財政が圧迫されている状況にある。 とりわけ、広大な地域に小規模校が数多く存在し、また、離島など多くの僻地を有する本道においては、教育財政の逼迫等により、教育水準の全国との格差や市町村間での格差が生じるなど、本道の教育水準のさらなる低下が憂慮されるほか、学力・体力の向上をはじめ、いじめや不登校など多様化・複雑化する生徒指導上の課題への対応や、近年増加傾向にある教育上特別な支援を必要とする児童生徒へのきめ細かな指導の充実等に支障を来すことが懸念される。 技術革新や産業構造の変化、グローバル化の進展など社会が劇的に変化し、複雑で予測困難となってきている中、令和3年1月の中央教育審議会答申では、2020年代を通じて実現を目指す学校教育を「令和の日本型学校教育」とし、その姿を「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」としたところであり、本道においても、中央教育審議会答申で示された理念の実現に向け、新型コロナウイルス感染症の感染拡大をはじめとする社会の急激な変化の中にあっても、全ての地域において質の高い教育を実現し、子どもたちの資質・能力を確実に育成していく必要がある。 よって、国においては、公教育に地域間格差を生じさせないため、次に掲げる事項について、地方交付税等を含む義務教育費予算の確保・拡充を図られるよう強く要望する。 記 1 義務教育費国庫負担制度の堅持 2 少人数学級の一層の充実 3 地域の教育課題や令和の日本型学校教育に対応するための教職員定数の改善 4 教科書の無償給与の堅持並びに学校施設費、就学援助費及び教材費等の充実 5 個別最適な学びと協働的な学びの実現に向けた外部人材の配置やICT環境の整備などに関する財政及び制度的措置 6 学校における感染症対策や教育活動保障のための財政措置の継続 以上、地方自治法第99条の規定により提出する。 令和  年  月  日 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 文部科学大臣  各通 北海道議会議長 おばた やすのり 意見案第7号 私学助成制度に係る財源措置の充実強化に関する意見書 3年2定 文教委員長 よしかわ たかまさ提出 令和3年7月2日 原案可決 私学は、建学の精神と独自の教育理念の下、時代の変化や社会の要請に応じた特色ある教育を実践し、我が国の公教育の発展に大きな役割を果たしてきた。 しかしながら、我が国は、少子高齢化社会の到来というこれまで経験したことのない厳しい時代を迎えており、私学においても、児童生徒の急激な減少と、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための対応等により、経営環境はより一層厳しさを増している。 近年ますます国際化・高度情報化が進展する社会において、我が国が持続的に成長・発展を遂げていくためには、新しい時代が求める能力や知力を有するグローバル人材の育成が急務であり、私学は、こうした人材育成のために、これまで以上に自主性や多様性を発揮しながら、社会的役割を果たしていく必要がある。 国は、昨年から年収590万円未満世帯を対象とした私立高等学校等の授業料の実質無償化を実現し、公私間の格差是正に努めてきたところであるが、私学経営は依然として厳しい経営を余儀なくされており、その安定性・健全性を高めることが何よりも重要となっている。 よって、国においては、こうした私学が置かれている厳しい経営環境や公教育における社会的役割に加え、今般の新型コロナウイルス感染症の教育現場に与えている影響にしっかりと目を向け、次に掲げる事項について支援の一層の充実強化を図るよう、強く要望する。 記 1 私立学校振興助成法の趣旨を踏まえた「経常的経費2分の1補助」の実現 2 公私間の納付金負担格差の縮小是正とさらなる保護者の負担軽減施策の拡充 3 学校施設の耐震化に対する公立学校と同水準の支援 4 公私を区別しないICT環境の整備促進 5 都道府県が実施する私学助成制度に対する財源措置の一層の充実強化 6 新型コロナウイルス感染症の蔓延防止及び感染防止対策の徹底と授業及び学校行事等の影響に対する支援措置の充実強化 以上、地方自治法第99条の規定により提出する。 令和  年  月  日 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 文部科学大臣 各通 北海道議会議長 おばた やすのり